福屋再建のスタートは、意外にも「清酒の立ち飲み」だったということをご存じでしょうか。それは、昭和21年1月1日のこと。福屋で「酒の立ち飲み」があることを聞いた人々が、続々と集まってきました。原爆投下から約5ヶ月。周囲にはまだ一軒も家がなかった時のことです。それでも「広島復興の足がかりは福屋からだ。再建しよう」との思いが広がり、元日から牛乳瓶に一合(180㏄)の酒を入れ、燗にしての販売となりました。殺風景な焼跡酒場でしたが、1本2円の酒が市民の活力源となり、従業員にも希望と勇気をもたらしたのでした。そしてその年の2月、自力での営業再開を果たし、福屋は廃墟の中から立ち上がったのです。それから3年後の昭和24年10月、ようやく百貨店としての営業に明るい兆しが見え始めた頃、創業20周年を迎えました。この昭和24年は、「カープ広島野球倶楽部(現・広島東洋カープ)」が日本野球連盟に正式に届出をした年でした。